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試合観戦 #2

試合観戦 #1 からのつづき

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写メを送った1週間後くらいに加藤さんから1つの段ボールが届いた。

全部は無理だけど僕の好きな号だけなら送るよ!、と言って10年以上前のNEUTRALを含む加藤セレクションを送ってくれたのだ、たしか8冊くらい(BOLLARD COFFEEにもいくつか置いてあります)。

半分表紙の切れた号もあったりで、もしかしたら最後の1冊を送ってくれたのかもしれないと思った。
そして、何年も前につくった雑誌をこうやって人に勧められるなんて、素直にすげえなと思った。

そのあと、たまにメッセでやりとりしたりといった付き合いが続いて、今年の1月、かなり久しぶりの再会。

移転してまだ荷解きの終わっていないBOOTLEGのオフィスを案内してもらい、ここでこれから何をやっていきたいみたいな話を聞かせてもらいつつ、加藤さんのデスクの位置もしっかり確認して、近くの中華料理屋で乾杯。

ATLANTIS創刊に向けた動きについてはそんなに話さなかったような記憶。
というのも、加藤さんは2017年の夏前から「ATLANTIS zine」として、自分のこれまでと、ATLANTISを含むこれからについて自らルポしていて、そんなに聞きたいことがなかったからだ。

お互いの近況を話しつつ、僕はどうしても加藤さんに伝えたいことがあった。
それは、その再会の2ヶ月前に行ったエレファントカシマシのライブで感じたこと。

「最後方の3階からステージの宮本さん見てたら、なんだか悔しくなってきちゃって」
「ライブの最中、ずっと考えていたのは、どうやったら宮本さんみたいなスタンスで仕事ができるのか、それはどういった職種なのか、ということなんすよ」
「でも、どう考えてもミュージシャンかアスリートしか浮かばなくて、しかもそのどちらも今からだと可能性がゼロに近くて」
とたたみかけるように話した。

そしたら加藤さんは
「わかる!岸田くん(くるり)のライブに行くと、いつもそれ思うんだよ」
「あ、わかった、五十嵐くん、僕らは試合がしたいんだよ」

試合という単語がとてもとても腑に落ちた。
そうか、僕は試合がしたかったのか。

(試合観戦 #3 につづく)
特集:
境界
THE BORDER

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雑文集「境界」